第17回 仙台ハイランド

山野哲也 (ジムカーナ&レーシングドライバー)

仙台ハイランドは宮城県の仙台駅から約30~40分、東北自動車道の仙台宮城I.C.からもだいたい20分の位置にあり、比較的交通の便はいい。とはいっても地形的には山の中。春先でもたまに雪が残っていることもあり、日本のサーキットの中では標高が高い方だ。遊園地やゴルフ場が併設されている総合レジャーランドの中の本格的サーキット。全体的には山の中ということもありアップダウンも激しく、コースレイアウトも山の地形を巧みに利用している。コーナー形状もヘアピン、シケイン、複合コーナーなど多岐に渡っていて、ストレートよりもコーナリングしている時間の方が長いくらい。2、3速中心のテクニカルサーキットだ。98年までは全日本GT選手権が行なわれていたし、スーパー耐久は今も開催されている由緒ある本格コース。

 まずメインストレートはほとんどのクルマが4速。1コーナーは結構きつく、タイトになっていて、どちらかというとシケインっぽい形状。フルブレーキングから3、2速と落とし、右側のインをナメる感じで入っていこう。そしてすかさず左にステアして、今度は左側のインをナメる。ちょうどS字の走り方とおんなじ感じだね。

 3コーナーの手前はあまりアウトまではらまず、コースの真ん中あたりにラインを取ろう。3コーナーへは、アクセルオフ、または重いクルマなどはブレーキングで進入する。ギヤは2速のまま立ち上がり、クルマによっては4コーナー手前で3速に入る場合もある。

 4コーナーへの進入は、アウト目一杯でブレーキング。ポイントはその立ち上がりで、ここハイランドでのタイムアップのカギを握る重要なところだ。次に長い直線が控えている大事な箇所だからね。立ち上がりはできるだけ早くアクセル全開にしたい。ところがここはアンダーステアが出やすく、一度失敗するとどんどんアウト側にはらんでいってしまい、いつまでもアクセルが踏めなくなってしまう。だからここでは"コーナリング"としては考えない方がいい。それよりも"ゼロ発進"のイメージで、ラインはアウト・イン・インで抜けよう。立ち上がりでの舵角はできるだけまっすぐにする。直後にゆるい右コーナーがあるけど、ここはなるべく最短距離で抜けるようにしよう。

 4コーナーをまっすぐ立ち上がったら、3、4速へとシフトアップ。ストレートエンドでフルブレーキングするんだけど、ここの突っ込みとコーナリングでタイム差が出やすいぞ。イメージ的にはちょっと恐怖心をあおられるかな。シケイン中心部の縁石には、ソフトめのサスペンションだったらなるべくまっすぐなラインをとれるように大胆に乗ろう。その時はアクセルのオンオフをうまく使うことを忘れずに。

 次の左のゆるいコーナーは、ブラインドでなおかつものすごい横Gと戦いながら攻めるのでちょっと怖いかも。クルマはなるべく左側に寄せて、縁石にイン側のタイヤを這わせながら走るといい。シフトは3速で、車速は130~150km/hくらいになる。日本のサーキットの中でもシケインからここまではもっともエキサイティングな区間だよ。

 その後に控える右直角コーナー。ここはその先までずっと登りなので、一度アクセルを戻すとすぐ失速してしまう。だからなるべく全開にできる時間を長くとるように心がけよう。進入では軽いブレーキングもしくはアクセルオフでいく。ラインはアウト・イン・ミドルをとり、その次の左直角コーナー進入のアウトをしっかりとれるようにする。

 左直角コーナーは、3速からブレーキングして2速に落とし、早めにアクセルオン。ここもできるだけアクセルは踏みたい。しかし立ち上がりのアウト側で脱輪しやすいので、はらまない程度にトラクションかけながらていねいに踏んでいこう。アウト側縁石あたりで3速にシフトアップ。その後の短いストレートの途中、ちょうど4速にシフトアップするあたりが、このコースの一番標高の高いところになる。


 下りはじめて最初のスプーンコーナーは、おそらく日本でここだけであろう3つのRから構成されている。ここは左~左~左と続く中で、いかに車速を乗せていくかがポイントになる。ドライバーによっても走り方が違うコーナーで、ハイランドの中では一番難しい。さらにここはアンダー/オーバーが出やすく挙動が乱れがちで、なおかつ路面がうねっていてピッチングも起きやすいから要注意。最初の左は、コースの真ん中あたりからステアを切りつつ進入しよう。スプーン立ち上がりまで3速ホールドで、アクセルのオンオフでクリアしていく。重いクルマの場合などは、ブレーキングした方がいいこともある。立ち上がって4速にシフトアップ。

 スプーンコーナーをクリアした後は、短い直線の後ゆるい右コーナーが待っている。ここはブレーキを残しながら進入していく。シフトは3速に落とし、立ち上がった後、次の右コーナーまでほんの一瞬全開にしよう。

 その先の右コーナーは一見90°に見えるけど、実は奥が深い。ここのブレーキングは不安定になりやすく、アンダーになりがちなので特に注意。2速に落としてインを長めに取ってCPは奥にとる。立ち上がりで3速にシフトアップしつつ左にステア。この後のゆるい左コーナーは、ライトウエイトなら全開。ちょっと重たいクルマだったらアクセルのオンオフでクリアできるはずだ。

 ヘアピン手前で一瞬4速に入れた後、フルブレーキングで2速まで落とす。ここもアンダーが出やすいのでインを長くとった方が賢明だ。舵角を残さないようにていねいに立ち上がった後は、3速、4速とシフトアップ。

 最終コーナーはアウト目一杯から進入しよう。また、コーナーも長くてじれったい。なるべくインについてる時間を長めにとるのがいいかも。ただし、アクセルを早めに開けるとアンダーになるから気を付けよう。立ち上がりでもはらみやすいので、外側の縁石には乗らない方がいいだろう。ギヤは3速。


 仙台ハイランドの路面は比較的グリップが低く、タイヤがタレやすい。コーナーが多くて、横方向の負荷がかかっている時間が長いことも関係していると思う。そのためタイムを出すなら1、2周目がベストだ。ボク個人的には自分の趣味にすごく合ってるレイアウト。このままコース幅を広げて、グラベルを増やしたらセパンサーキット(JGTCやF1が行なわれるマレーシアのサーキット)みたくなると思う。ちなみにアウト側のランオフエリアは結構狭いので、クラッシュしたらダメージが大きいからよく注意しよう。


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