第14回 エビス東サーキット

山野哲也 (ジムカーナ&レーシングドライバー)

 エビス東コースは、第8回のエビス西で紹介したようにエビスサーキットにあるうちの一つ。東北自動車道の二本松I.C.から約20分の位置にある。東北サファリパークの中にあるちょっと変わったサーキット。東、西、南、北、さらにはドリフトランド、そして峠コースと、実に多彩なラインナップ。初心者から上級者まで、東北地方、そして北関東の走り屋には絶大な人気を誇る。

 東コースは、日本のサーキットの中でもっともアップダウンの激しいコースの一つで、メインストレートの登りは強烈の一言だ。比較的ミニサーキットの中ではコース幅も広くハイスピードなレイアウト。楽しい反面コースアウトすると、グラベルが少ないので草の上を滑っていって、土手までまっしぐらっていう雰囲気でちょっとドキドキ。冬は雪が残る場所なので、春から秋あたりが走行のチャンスかも。

 スポーツランドSUGOの登りも急だけど、それに輪をかけてきつく感じるのがここのメインストレート。コントロールラインからいったん平坦になるんだけど、1コーナー寄りのピットあたりで再び登りになる。ほとんどのクルマが4速160km/hぐらい出ると思う。

 1コーナーは、ピットロード出口ぐらいの地点からブレーキングをし始めるのがいいだろう。ブレーキ性能の高いクルマだったら、50m看板までガマンできるぞ。ここはフルブレーキングして2速までシフトダウン。1コーナーはちょっと逆バンっぽいから、突っ込み過ぎるとインを逃してしまって、戻ってくるのがとても大変。登り勾配だから比較的減速しやすいんだけど、しっかりとインにつくことをキモに命じよう。立ち上がりは、直後にS字が控えてるため、頑張り過ぎないように。ここでアウトをとると次がきつくなるから、アウト・イン・ミドルぐらいでおさめるようにしよう。

 S字の進入はアウト側から、つまりクルマをコースの右側に寄せて、軽くブレーキングしながら入る。ここは下りなので、テールスライドしやすいから要注意。突っ込み過ぎるとスピンしながらアウト側のガードレールに一直線、なんてこともあるからスピードは抑え気味にいこう。逆にS字の出口でなるべく全開でいける走り方を身に付けるのが効率的だ。1つめの左側の縁石は高いので、しなやかな足回りでない限り乗せない方がマル。2個目の縁石は、乗せても思ったほどクルマが暴れないので、目一杯乗り上げてできるだけ全開でいけるようにしよう。ギヤは3速ホールドだ。

 下り勾配の裏ストレートは、かなり勾配もきついのでスピードが乗る。だいたい140km/hは出ると思う。クロスミッションのクルマだと4速に入る。下りで怖いけど、ブレーキは比較的よく効く。フルブレーキングのあと、2速にシフトダウン。この時クルマが直進状態の時にブレーキングすること。右に切りながらのブレーキングだと、タイヤ4本の性能が活かし切れず、制動距離が長くなってしまう。だからなるべくタイヤをまっすぐの状態にしてブレーキをかけるのがコツだ。

 第1ヘアピンは、右側の小さな縁石にフロントタイヤ乗せながらクリアしよう。CPは長めにとり、ポイントとしてではなくゾーンとして捉えよう。ここからまた登りに変わるので、立ち上がりではしっかりトラクションをかけること。ここでトラクションがかからないと、登りでの立ち上がりでロスが生じるからね。そして2速から3速にシフトアップ。
 続く第2ヘアピンは、フルブレーキングと同時に2速にシフトダウン。ここはアンダーが出やすいコーナー。とくにCP後に出やすいレイアウトになっているから、CPは奥にとろう。立ち上がる時は縁石に乗らないように注意。ここの縁石は高く、乗ってしまうとトラクションをロスしてしまう可能性が高いからね。脱出では2速から3速へシフトアップ。


 第2ヘアピンのあとは、ゆるい右コーナーが2つある。1つ目はどんなクルマも全開でクリアできる。2個目の100Rはすごく怖い。クルマによってはブレーキをかける必要があるけど、リッターカークラスだったら、もしかしたら全開でいけるかも。ほとんどのクルマは、チョンブレもしくはアクセルオフでクリアできるはずだ。

 最終コーナーは、結構難しい。というのも、Gが左にかかった状態でブレーキングするから。右側のタイヤが浮き気味になって、制動距離が出にくいからね。あらかじめそれを読んだ状態でブレーキングしよう。速度が乗ってることもあり、コースアウトしたら土手が近いから大クラッシュにもなりかねない。とくにここのグラベルは、土なんだけどぬかるんでて、いったんはまってしまうと脱出できなくなるから気を付けよう。
 この最終コーナーの後半部分で一番大事なのはトラクション。とくにストレートの急勾配につながるのでアクセルは効率的に路面に伝えたい。とくにアンダーが出やすいから注意しよう。ここはコーナリングスピードを稼ぐというよりは、しっかりCPをとってアクセル全開にできるポイントを早めにした方がいいだろう。ほとんどのクルマが2速で回る。勾配がきついので、ブレーキを一度踏んだらアクセルは戻さないように。シフトアップの操作スピードを速くするのもタイムアップのカギだ。

 ここエビス東コースは、アップダウンが激しくコーナリングスピードも高い。ブレーキングもしっかりしなければならない。変化に富んでいるし、クルマのスタビリティの高い方が走りやすいサーキットといえるだろう。つまり、足回りにスポーツ走行用のサスキットが入っていたり、ハイグリップタイヤを履いていた方が安心して走れるぞ。とはいえ、路面もバンピーで縁石が高かったりするので、足はしなやかなものが望ましい。路面は比較的荒く、タイヤの磨耗は激しい方。Sタイヤは、磨耗、そしてタレも発生しやすいサーキットだね。

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