第8回 エビス西サーキット
山野哲也 (ジムカーナ&レーシングドライバー)
エビスサーキットは、東京からはちょっと遠いけど、東北自動車道の二本松I.C.から約20分の位置にある。東北サファリパークという、クルマで回れる動物園の中にある、ちょっと変わったサーキットだよね。東、西、南、北の4つの本格的なコースをはじめ、初心者がドリフトを練習するにはもってこいのドリフトランド、さらには本物の峠そっくりの峠コースがあるんだ。コースは首都圏のサーキットよりすいてるし、料金も安く練習には最適で、東北地方のみならず、北関東の走り屋君たちには人気が高い。いろんなイベントが毎年行なわれてるから、毎月のようにどこかの雑誌で登場してくる有名なサーキットだ。今回は、ここエビスサーキットの中で西コースを取り上げてみよう。
まずちょっと下りになってるメインストレート。4速で引っ張れて、速度の乗るストレートだ。速いクルマだと180km/hは出る。そこから1コーナーに向けてフルブレーキングするんだけど、形状が複合コーナー(ゆるい右のあとにきつめの右コーナーが連続する)になっているところを、クルマをまっすぐにした状態でブレーキングする。右に曲がりながらだと、荷重のかかり方の少ない右フロントタイヤがロックしやすいからね。雨の時も要注意。グリップが低く、とてもロックしやすいんだ。コースアウトすると、ちょっと先に大きな壁があるし、雨が降ったあとのそこはぬかるんでるから、まず自力での脱出は無理だし、引っ張ってもらうのも大変だから気をつけよう。
1コーナーはかなりの減速が必要で、限界スピードは高くて60km/hぐらいだよ。通常は2速だけど、クルマによっては1速で小回りした方が速い場合もあるんだ。なるべく小さく回ることを心がけよう。立ち上がりはあまりアウトまではらまず、コースの真ん中ぐらいにおさめるようなラインだ。なぜなら、すぐあとにきつく左に曲がる2コーナーが控えているので、アウト側までいくと、そこでさらに速度を落とさないと曲がれないからなんだ。1コーナーの立ち上がりはミドルで、2コーナーの進入でちょっとだけミドルからアウト側にはらんでからインに切り込んでいく感じだ。
2コーナーの立ち上がりでは、アウトに出すぎないように。外側の縁石に乗るとトラクションがかからないからね。シフトはここで2速から3速へ上げて、続く3コーナーを目指そう。
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3コーナーの進入では、アウト目一杯からなるべくインにつくことを考えよう。ここはフロントのグリップが足りなくなり、アンダーが出やすいので、うっかりするとCPをはずしてしまいがちなんだ。一度インにつけないと、どんどん外にはらんでいってしまうからね。ちょっと速度を落とし気味にしてインにつけば、かなり早い段階でアクセルが踏めるぞ。この後に直線が続くので、ここでいかに早くアクセルペダルを踏めるかが重要になってくるんだ。
次の高速コーナーは、めちゃくちゃエキサイティング!! ほとんど度胸だめしって感じのコーナーなんだ。気分はもうWRCの下りのターマック!! ドライの時は、ジェットコースターみたいに痛快だけど、ウェットの時は、一瞬フッとグリップを失う時がある。ハイスピードコーナーだけに、大きなクラッシュにもつながりかねないから、できるだけていねいに走ろう。
その後のバックストレートは、シフトは4速に入る。コース幅が狭いわりに結構スピードが出るんだ。ここも手前の高速コーナー同様、ジェットコースターみたいな気分にさせてくれるね。ウェットの時は水がたまりやすいから、急激なハンドル操作は避けた方が無難だよ。
次のS字は、まずブレーキングに注意すること。ここでミスすると、目の前に壁が迫ってくる。そこに真直ぐ突っ込むと、クルマに大きなダメージを与えてしまうので、まずはしっかりとブレーキングして速度を充分に落とそう。ここはコーナリングでタイムをかせぐというより、立ち上がり重視で走るコーナー。この後の最終ヘアピンまで少し距離もあるしね。ここは3速がベストだと思う。コース幅を有効に使ってクリアしていこう。
最終ヘアピンは、ごくごく一般的なヘアピンで、セオリーどおりアウト目一杯から進入する。2速にシフトダウンして、ちょっと長めのCPをとって立ち上がろう。このイン側の縁石はバンバン乗っても大丈夫だ。
最後のシケインは、意外にコース幅が狭いんだ。だからラインも1本しかない。ちょっとでもタイミングをはずそうものなら、ラインがとれなくなるどころか、これまたクラッシュにつながりかねない。とくにシケインに入ってからスピンすると、イン側のコンクリートウォールが向かって来る(?)から注意が必要だ。ここも次にストレートが控えてるから、立ち上がり重視で加速していこう。ウェットだとすべりやすく、また足が硬いとイン側が浮いて不安定になるから、慎重にいこう。
エビス西コースは細長めのサーキットで、面積として小さい割にはスピードが出るコース。ストップ&ゴーが得意なクルマが走りやすくタイムが出るね。タイヤの使い方としてはタテ方向重視で、しっかり減速して真直ぐ立ち上がる感じだね。タイヤ的にタテ重視だから、ブレーキングとトラクションが大事だよ。コーナリングスピードでかせごうとは思わず、しっかり減速して確実にCPをとりつつ、直線的に立ち上がるという、全体的にタテ方向の力をたくさん使うサーキットだ。
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