第5回 中山サーキット <その1>
山野哲也 (ジムカーナ&レーシングドライバー)
山陽自動車道・和気I.C.からわずか3分程度で到着できてしまうという、中山サーキット。クルマでのアクセスだったら、おそらく国内随一の利便性だろうね。岡山市内からも40~50分程度、大阪からだったら1時間半程度で行けてしまうぞ。
山を切りくずして造ったようなイメージで、コースレイアウトもアップダウンが激しく、路面もバンピー。まるでヨーロッパの山岳ラリーみたいな感じ。でもコース幅は意外に広く、そのへんはサーキット的なんだ。とてもエキサイティングで、走っててドキドキするコースだね。
1~2コーナーは、35Rとそこそこきつく回り込んでいるけど、コース幅は結構ある。ここは思いきり外から入って、CPを奥にとる人が多いけど、それは無駄だと思うんだ。山野流は、インにスパッと切り込んで行き、イン側の低い縁石をしばらくナメる感じでクリアする。つまりCPをポイントとして捉えるのではなく、ゾーンとして考えるんだね。この方が走行距離を短くできる。進入が登り勾配だから、突っ込み気味にいっても比較的減速しやすいしね。そしてUターンするような感覚で立ち上がっていくんだ。出口側は、ちょっと逆バンっぽくなってて、曲がりにくいし、アウト側の縁石を飛び越えるとクルマへのダメージも大きいから、ミドルくらいのラインがいいよ。ラインは、ミドル・イン・イン・ミドルって感じがベストだね。
2コーナーからS字にかけては、直線的にラインを結ぶ感じ。2コーナーの立ち上がりであまりアウトにはらむと、その先のS字で大きく蛇行するような感じになる。それを避ける意味もあって、ミドルで立ち上がった方がいいんだ。ここは雨が降ると、下り勾配っていうこともあって、ハイパワー車の場合アクセルを一気に開けると、あっという間にグリップを失って、スピン状態になりやすいから要注意。滑り始めるとくるくる回りながら3コーナーへ??なんてことにもなりかねないからね。
3コーナーは、目の前にグランドスタンド席があって、ギャラリーが見守るなか頑張りたくなるんだ。だけど、壁に向かって走る感じで、なにげに恐怖感もあるんだよね。下りながらアウト・イン・アウトで入るんだけど、重要なのはインの縁石をしっかりナメること。段々Rがゆるくなっていくので、細かく表現するとラインはアウト・イン・ミドル・ミドル・アウトって感じ。雨の日はブレーキロックしやすいので、早めにブレーキペダルの上に足を乗せるようにしよう。あと、ウェットになるとアウトに行けば行くほど滑りやすくなるので、あまり外側にはらまない方がいいよ。見せ場としてはすごく気持ちいいコーナーだよね。ハイパワー車だったら、ドリフトしながら立ち上がっていくと気分いいぞ。
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次の4コーナーは、アウトぎりぎりまでいくと姿勢を乱しやすくなるので、外側の縁石は踏まない方がいい。スタンド前でドリフトしても、4コーナーではクルマの姿勢はまっすぐにして、タテ方向にタイヤを使うようにしよう。そしてトラクションを充分にかけてその後の坂を登っていくのがマルだよ。
プレッシャーが大きいのが次に控える5コーナー。直前まで登り勾配で、ここからフラットになる。クルマによるけど、車速は140キロぐらいになるかな。ライトウェイト車だったらアクセルオフでタックインの感じで曲がれるだろう。ハイパワー車なら軽くブレーキング。ただし、直後にストレートがあるので、早めのアクセルオンを心がけよう。CPのインは外さないように注意しよう。アウト側に引っ張られてアクセルオンが遅れて、その先のスピードのノリが落ちるからね。
5コーナーと6コーナーの間は、ゆるく左に曲がっている。まっすぐ行くと、6コーナーの進入でイン寄りになってしまう。かと言って、アウトから進入しようとすると、横Gが残ったままになってしまうので、ブレーキングが不安定になってしまう。で、山野流としては、Gが残らない程度にちょっとだけアウトに振ってから進入するんだ。ここは2つのコーナーが合わさった複合コーナーになってるけど、ライン取りのポイントとしては、CPを2つとも外さないこと。1つめと2つめのCPの間は、アウトまではらむ必要はないよ。ラインはミドル・イン・ミドル・イン・アウトっていうイメージかな。