第13回
YZサーキット
山野哲也 (ジムカーナ&レーシングドライバー)
日本のほぼど真ん中に位置するYZサーキット。瑞浪I.C.から20分、瑞浪サーキットに隣接している。ちょっと遠いイメージだけど、名古屋の中心から1時間ちょうどくらいで到着する。都心から近いこともあって、走行会がよく多く行なわれているサーキットだね。パドックは決して広い方ではないけれど、コース内が全周見渡せるコントロールタワーがあり、ミーティングルームもあって、こじんまりとしてるけど、そこそこのイベントはできる。1コーナーアウト側にスタンドがあり、全開で進入してくるマシンのコーナリングの醍醐味を目の前で堪能できるサーキットだ。
1コーナー(上図)は結構勇気がいるコーナー。ほとんどのクルマが3速なんだけど、ブラインドになっていて、なおかつ全開で行けるかどうか微妙なところなんだ。シビッククラスのクルマだったら間違いなく全開で行けるんだけど、2・以上のクラスになると、アクセル全開で曲がって行くのはなかなか難しい。アクセルオフして、クルマの向きが変わるのを確認してから踏んだ方がいいね。ここ1コーナーは、YZサーキットの中でも一番速度が高いコーナーだけに、一度挙動を乱して姿勢を元に戻すのに一苦労する。気分的には全開で行ってみたいんだけど、コースに慣れるまでは、向きが変わってからアクセルオンするようにしよう。ラインは、アウト・インまでは取るけど、立ち上がりはアウトは使わない方がいい。なぜならアウト側のマージンが少ないので、自らそのマージンを増やす意味で、アウト・イン・ミドルのつもりで行こう。
2コーナー(下・左図)は、アウト・イン・アウトを通りたいんだけど、意外と進入のアウトを取りづらいんだよね。インをあけると後ろのクルマにスパッと入られるし、アウト側のマージンも少ないから、なるべくコースの真ん中あたりから進入して行く。ここは勾配が登りだから圧迫感はあるけど、思った以上にブレーキは効く。そのあとは、しっかりインに長めにつきつつ、クルマを立ち上がり方向にまっすぐの状態にしてアクセルを開けて行くのがベスト。しっかりと向きが変わってからは、3コーナーまで全開。ギヤは2速。3コーナーからヘアピンにかけて3速に入るクルマもある。
第1ヘアピン(下・右図)にはアウトから入ろう。早くインにつくと、立ち上がりでアンダーステアが出やすく、そのあとアクセルが踏めなくなるから要注意。「ちょっと遠回りかな」っていうぐらいアウトから入って、CPはなるべく奥に取ろう。ギヤは2速。FF車は特にアンダーが出やすいので、トラクション方向、つまりなるべく舵角を少なく走らせるようにしよう。
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次の左ヘアピンは、ブレーキングポイントにギャップがあるので注意が必要だ。ABS付きだと過剰に反応して、制動距離が伸びる場合がある。ABSなしだともちろんロックしやすくなるから同じく制動距離が伸びる。いずれにしてもブレーキングでミスすると、目の前にガードレールがすごい勢いで近付いてくるので、ちょっと控えめに入ろう。ほとんどのクルマはここでは2速を使う。CPでインを取るのはもちろんだけど、出口ではアウト側まで使わない方がいいと思う。外側にクルマ1台分余裕を残して、そこから自分の意志ではらんで行くような走り方の方がいいよね。
シケイン手前で、速いクルマだと3速に入る。速くなればなるほど、ここはすごく狭く感じる所。左、右とも、縁石はガッツン、ガッツン乗せない方がいいね。特に足が硬い場合は、クルマが跳ねてしまいトラクションがかからないので乗せない方がいいだろう。ブレーキングポイントはクルマによって違う。パワーがあって、重くなればなるほど、進入してすぐブレーキペダルを踏み始める感じだね。ここもアウト側のマージンが少ないので、ブレーキングを失敗すると、山肌がキミを迎えてくれるぞ。
最終コーナー(下図)は、進入でアウトに出過ぎると横Gがかかったままのブレーキングになるので難しい。制動距離が長くなってしまうんだよね。その後はきっちりインにつきつつも、もっとも抵抗のないラインと舵角で立ち上がろう。そして3速にシフトアップして1コーナーへの心の準備に入る。
ここYZサーキットは路面のμが低いので、ソフトめのタイヤと比較的山のあるタイヤの方がフィーリングがいいいだろうし、パフォーマンスもあると思う。もちろん走りやすく、タイムも出るはずだ。コーナーで頑張るのは1コーナーで、あとはストップandゴーのコーナー。つまりブレーキングでクルマの姿勢を落ち着かせて、舵角を少なくして立ち上がり重視のラインを取る。タテ方向、つまりブレーキングとアクセルでタイヤを使うことが多いのが、このサーキットの特徴だね。